「ヒグマ対策護衛事業」とは
「ヒグマ対策護衛事業」とは、ヒグマの出没地域にハンターが同伴して、ヒグマと出会わないように対策を行い調査員や作業員を護衛する仕事です。「ハンターガード」や単に「護衛」と表現することもあります。万が一に備えてハンターは銃を携行しますが、原則として発砲はしません。主に周囲の警戒や安全性の判断を行い、クライアント(作業員や調査員)が安心感を持って作業を行えるようにサポートします。


ヒグマが近くにいるかどうかは、地形・天候・餌などの環境条件や、足跡・糞・爪痕・臭いなどの痕跡をもとに、様々な条件を照らし合わせて判断します。また、山林内の危険はヒグマだけではありません。マダニやスズメバチ、マムシなどの生物をはじめ、落石や滑落などの危険性も伴います。そういった不測の事態に極力対応できるように、ファーストエイドキットなどを持ち歩きクライアントをバックアップします。

どのような状況で護衛が必要か
護衛を同伴させる基準として、①ヒグマ出没情報が頻繁に更新される地域、②山林内に徒歩で入って作業する、③沢沿いなどヒグマもヒトもお互いに存在に気付きにくい状況、④平静を保つ必要がありクマ鈴や爆竹を鳴らすことができない作業をする、⑤背丈を超える笹薮等を藪漕ぎして進む、これらのいずれかに当てはまる場合は、護衛を同伴させることをおすすめしております。
護衛の事例
- 鳥類・両生類・植物などの生態調査
- ダムや河川に設置された観測機器の保守点検
- 開発区域の測量
- 建設予定地の下見
- 石炭層や地盤などの地質調査
- 送電・通信設備の保守点検
従来のヒグマ対策護衛が抱える課題

護衛を頼みたくても「うちにはもう歩ける人が居ない」と断られてしまう。
高齢のハンターに険しい場所を歩いてもらうのは申し訳ない。
若い人が来るけど、ヒグマと出会ったことはないらしい...。
依頼されても、派遣できるハンターがいない。
歩けるハンターはみんな本業で忙しい。
依頼が不定期なため収入として安定しない。


今まで気にせず作業してたけど、これから危険な場所はハンターを付けたい。
いざ護衛を依頼するとなると、どの窓口に連絡したらいいのかわからない。
ヒグマの技術や知識を身につけたいけど、どう学んだらいいかわからない。
「とりあえず歩ければいいから」と現場に駆り出されてしまった。

ヒグマ対策護衛という仕事が普及して数十年、これまでは地元の猟友会に護衛を依頼するのが一般的でした。しかしながら、ハンターの高齢化や銃所持者の減少に伴い、護衛の依頼をしても地元猟友会に断られてしまうケースが増えているのが現状です。対して、ヒグマの個体数は増加し人身事故や市街地への出没などヒトとヒグマの軋轢は増加傾向にあります。需要に対して供給が不足しており、クマに対して経験の無いハンターも漠然とした不安を抱えながら護衛を行う。こういった状況が続くと、いつか大きな事故が起きてしまうのではないでしょうか。

GOE-MONの目標 ヒグマ対策護衛を通じて目指す先
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これからのヒグマ対策を考えるうえで私は、ヒグマを知ることだけでなく、ヒグマに知ってもらうことも非常に重要だと思います。ヒグマ対策護衛というのは極端に言うと、山林内に人が入りヒグマに対して自分たちの存在を積極的にアピールすると同時に、音や匂いなどの様々な道具を用いて「人間はこんな生き物だ」ということを伝える仕事です。ヒグマを中心とした野生動物との距離が曖昧になりつつある現代において「ヒトとヒグマの距離を適切に保つ」ために効果的な手法ではないでしょうか。有限会社GOE-MONは、その名の通りGOE(護衛)を軸にした会社です。私はヒグマ対策護衛事業を通じて社会的課題の解決に貢献したいと考えています。
目標① 依頼者の不安を払拭すること
不安と一口に言っても、「作業中にヒグマに遭遇しないだろうか」といった現場目線の不安もあれば、「護衛の依頼はどのようにして行えばいいのだろうか」「どのような手続きが必要なのだろうか」という事務作業に対する不安もあるかと思います。「地元猟友会に頼まずに違う団体を利用しても問題ないだろうか」という不安もあるかもしれません。そういった依頼者様の不安に寄り添い、各種許可申請から当日の作業終了まで、しっかりとサポートさせていただきます。
目標② ハンターに正当な対価を
有限会社GOE-MONは、「調査員のペースに応じて山を歩けること」「山林内で銃によりヒグマを捕獲したことがあること」「護衛やガイドなどでヒグマとの遭遇リスクを極力減らすよう努めてること」これらの条件を満たすハンターと面談を行い、GOE-MON登録ハンターとして登録いただいております。知識と技術を持ったハンターに現場へ行ってもらうことで、より依頼者様の不安を和らげることができます。ヒグマの経験というのは一朝一夕で身に付くものではありません。登録いただいているハンターの皆様に対して正当な報酬を支払うのはもちろんのこと、「GOE-MONに登録していて良かった」と思っていただけるよう努めて参ります。。
目標③ ハンター育成のその先を
これまで、ヒグマの捕獲技術というのは地域の猟友会などごく狭い範囲内で継承されるものでした。しかし、昭和の春グマ駆除全盛期に求められていた技術や知識と、これからの時代に求められる技術や知識は、似て非なるようなものだと断言できます。有限会社GOE-MONでは「現場で活きる知識と技術」をモットーに、現役で活躍されているハンターの皆様に講師をお願いし、オンラインセミナーや実地研修を開催しハンターの育成を行っております。ただ育成するだけでなく、これらの育成事業を通じて知識・技術を身につけたハンターが最終的にハンターとして生計を立てられることを目標としています。そして、その時に手段の一つとしてヒグマ対策護衛という選択肢を提供できるよう日々尽力します。